原爆症認定訴訟 明日最高裁で判決 原告被爆者の訴え

被爆者が「原爆症」の認定を求めた訴訟の判決があす25日、最高裁判所であります。今回は、認定要件の1つ、「申請した時点での医療の必要性」について、最高裁が初めて統一した判断を示すものとみられます。

原告の1人、内藤淑子さん。75歳です。生後11か月の時、母親と一緒に親せきの家に向かう途中、爆心地から2.4キロの広島市己斐地区で被爆。放射性物質を含む黒い雨にも遭いました。小さいころから目が悪く、小学5年生からメガネをかけていました。

「かけるのが嫌で。(視力が悪いことを)親に黙っていた。すごい抵抗あった。」(内藤淑子さん)

47歳のころ、両目が白内障だと診断されました。12年前に、原爆症の申請をしましたが、国は却下。以来、裁判での戦いを強いられています。

原爆症に認定されるには、▽原爆放射線による病気であること、▽現に医療が必要な状態であること、の2つが要件です。

認定されると、月額およそ14万円が支給されます。裁判で、内藤さんは、1審・2審とも勝訴。敗れた国は、2番目の要件である▽医療が必要な状態であること=「要医療性」を認めないとして上告しました。

「これが、炎症抑える薬。」(内藤淑子さん)

内藤さんは、認定の申請をしたとき、医療機関で定期的な経過観察を受けながら、点眼液を処方されていました。これについて国は、「積極的な治療を伴わない経過観察のための診察を受けていただけでは、要医療性があるとは言えない」と主張しています。

これに対し、弁護団は、国は要医療性の解釈を狭めることで被爆者を切り捨てていると批判。国の姿勢をこう解説します。

「こんなに高いお金(医療特別手当)をもらえるのだから、要医療性を厳しく限定して解釈すべきなんだ。そう考えると、健康に不安があるとか、再発防止が必要だというだけでは足りない。」(弁護団)

国から医療が必要な状態ではないと突き放された内藤さんですが、去年秋には、右目の手術を受けました。白内障でさらに目が見えにくくなったためです。

「訴えてから何年も経つ。死ぬまで待っているのかなと。生きているうちに何とかしてほしい。」(内藤淑子さん)

弁護団は、「原爆放射線の影響が解明しきれていない点も踏まえるべきだ」と主張します。

「被爆者は、被爆することで全身にリスクを抱えている。健康の被害が発生するリスクが非常に高い人たち。こういう人たちに対して経過観察が中心になるのが本来だと思う。」(弁護団)

長年、原爆症認定訴訟をけん引し、内藤さんの代理人も務める佐々木猛也弁護士です。

「被爆者に対する国家補償的な対応をしないといけない。そこを裁判所がどうみるか。」(佐々木猛也弁護士)

佐々木弁護士は、最高裁の判断材料のポイントの1つとして、被爆者援護法の国家補償法的性格を挙げます。

「被爆者という特別な立場、被爆者援護法の前文に書かれていることをきちんと理解できた判断をするかどうか。」(佐々木猛也弁護士)

子どものころ、体が弱かった内藤さん。大人になってからも白内障のほか血圧の異常や頭痛など、様々な体調不良に見舞われました。

「これでよかった…と、死んだらわからない。闘ってきてよかったと思えるような判決を出してほしい。」(内藤淑子さん)

原爆放射線のせいで病気になった被爆者への経過観察を「医療を要する状態」と最高裁は判断するのか…。判決は、あす25日午後3時から言い渡される予定です。

― あすの判決にかかわっているのは、内藤さんを含め3人の被爆者です。控訴審の段階では「要医療性」について異なった解釈が出されているため、最高裁が初めて「要医療性」について統一した判断を示すと予想されます。

― 「経過観察だけでは要医療性の要件を備えていない」として、制度を運用する国に変更を迫る判決になるのか、注目です。[RCC]

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